個性に合わせて接する

子供といえども一人の人間です

現代の教育現場でのキーワードとなっているのが多様性(ダイバーシティ)です。

この言葉は米国のベンチャー企業などでより新鮮なアイディアを出すための方法として提唱されてきた概念ですが、社会的に広く知られるようになったことで教育の現場でも重要視されるようになっています。

戦後の日本的な教育方法の問題点として言われているのが“個性”を重視せず、同じような考え方にまとめてしまう同調圧力が強いということです。

この多数の人を同じ方向に向かせるという方法は戦後の混乱期においては大変に有用なものではありました。

しかし社会が成熟をしたことにより今後はそうした個を潰して多数を生かす方法ではなく、個人がそれぞれの違いを発揮することが、最終的には柔軟な発想力を産み社会を豊かにしていくものとして重視されています。

教育の現場においてもその精神を反映する形で、子供たちが自分なりの考えを殺さず自然に考えを伸ばしていくことができる方法をとるようになっています。

子供たちもまだ幼いとはいえ一人の人間であり、全く違った個性を持っています。

子供に接する立場にある大人としては、そうした相手との違いを受け入れて生かすという考えをしっかりと理解しておく必要があります。

心理的気質から見る子供の個性

有名な心理学として、シュタイナーによる4つの気質分類があります。

これは子供に限らず全ての人間は4つの気質に分類ができるというもので、個人それぞれがどの気質がより顕著に表れているかによって他の人と接するときの態度が変化してくるといいます。

具体的な4分類とは「胆汁質」「多血質」「粘着質」「憂鬱質」となっており、これは人の体内を流れる体液のうちどれが最も多く分泌されているかということがもとになっています。

この4気質を子供への教育に生かす方法として、ロイ・ウィルキンソンによる「教育における四気質」という著書もあり、児童心理や教育学に携わる人ならば一度は目にする内容になっています。

それぞれの気質によって怒りっぽくなったり落ち着いていたり、情熱的、思慮深い、粘り強いなどさまざまな性格面の違いがでてきます。

子供の個性がはっきりと現れるようになるのはおおよそ10歳前後と言われていますが、言葉を話すよりももっと以前から個性の違いはわかるものでもあるので、子供の“個”を生かす教育をするときにはこうした気質の違いにも注意深くなりたいものです。

本当の意味で個性を伸ばす教育とは

ただ最近ではこの「個性を伸ばす」という言葉だけが一人歩きをしてしまい、誤った方法で教育方針を定める家庭も散見されています。

子供が公共の場で走り回ったり大声を出していたりしていても、それを注意してやめさせると“個性を潰すことになる”と言って放置するようなケースです。

そこまでの例は極端としても、あまりにも個性を重視しようとするために子供にとってむしろ悪い影響を与えてしまっているようなことも実際にはとても多くあります。

このあたりの親や保護者としての責任と子供の価値観との兼ね合いは難しいところではありますが、最低限度の責任をとるようにしながら子供と接していくことが求められます。